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仕事さがしのQ&A ≫就職・就業について3

労働契約の終了(退職)

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  1. 有給消化中に次の転職先で働いてもいいのですか?
有給消化中とはいえ在職中であれば、転職先で働く場合は副業になります。禁止している法律はありませんが、就業規則等にて副業を禁止している会社もありますので、在職中・転職先の就業規則を確認してみてください。

また、雇用保険については、二重に加入する事は出来ませんので、在職中の会社の雇用保険資格喪失の手続きをした後でないと、転職先で雇用保険資格取得の手続きをすることはできません。

  2. 辞めた会社の求人広告に、自分の写真が使われているのですが。
肖像権や氏名権など、自分の肖像や氏名の不適当な使用を制限できる権利が認められています。広告においても、他人の肖像や氏名を無断で使用することはできませんので、まずは退職した会社に、写真を変えてもらうよう依頼してください。また、退職前から自分の写真が使われていることを分かっている場合は、退職前に「退職後は自分が載っている写真は使わないでほしい」と会社に伝えておきましょう。

会社に伝えても対応してもらえない場合は、求人広告が載っている求人メディアに相談してみてください。

  3. 契約期間満了前に退職したいのですが、契約違反に問われますか?
労働契約とは、労働者と使用者が対等の立場における合意に基づいて締結するものです。(労働契約法)一方的に退職を申し出るのではなく、事前に会社に退職したい旨申し出て、その承諾を得て退職するのがいいでしょう。

しかし、会社が一方的に契約を解除する「解雇」の場合は規制がありますが、労働者の意思で辞める場合は、特に規制はありません。通常は、業務の引継ぎなどを考えて、就業規則に「退職する場合は、1ヵ月前に申し出なければならない」といった規定をすること多いようですが、民法では、退職を申し出てから、2週間で効力が生じると定められています。

ただし、月給制のように賃金が期間をもって定められている場合は、退職の申入れは、次期以降につき当期の前半に行うこととされています。例えば、暦月で賃金を決めている場合、7月1日に退職したいときには、6月15日までに申し入れる必要があります。

なお、期間の定めのある契約は、やむを得ない事情がある場合を除いて、使用者も労働者も原則として契約を解除することはできませんが、労働基準法第137条により、暫定的措置として、一定の場合(事業の完了に必要な期間を定める労働契約、専門的知識等を有する者との労働契約、60歳以上の者との労働契約)を除き、契約期間の初日から1年を経過した日以後においては、労働者は使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるとされています。

  4. 会社から退職を勧められています。応じなければならないでしょうか?
退職を勧められただけであれば、必ずしもそれに従う必要はありません。応じる気持ちがなければはっきりと会社にその旨を伝えることが肝心です。退職の意思がない場合は、会社の勧奨に対し、同意ととれるようなあいまいな言動をしたり、文書にサインをしたりすることはしないほうがいいでしょう。

退職勧奨については、法律の定めがあるというものではありません。応じるかどうかはあなたの自由ですので、もし、あなたが退職勧奨を受け入れた場合は「自己都合退職」という扱いになります。

退職勧奨に応じない社員に対して、会社がしつこく退職を迫ったり、脅迫的な行為があった場合は、総合労働相談コーナーや法テラスなどに相談しましょう。

  5. 辞めたいのに辞めさせてもらえません。
日本国憲法第22条では「職業選択の自由」を謳っています。特別な事情がない限り、退職の自由は保証されています。しかし、どうして辞めさせてもらえないのか、その理由を考えてみることも大切です。会社側からすれば、有能な社員に急に辞められると困る事情もあるでしょう。あなた自身も、会社の繁忙期は避ける、引き継ぎはきちんと行うなど、会社にできるだけ迷惑をかけないように努力し、会社とよく話し合ってみてください。

どうしても、退職させてくれない場合、民法では、「期間の定めのない雇用契約については、退職を申入れた日から2週間を経過したときは雇用契約は解除される」旨定めていますので、2週間以上前に退職届を出していれば、その日がくれば労働契約は終了します。

  6. 退職を申し出るタイミングは?
退職する意思を固めたのであれば、できるだけ早く申し出ることが大切です。まず、辞意を直属の上司に伝え、できれば退職予定日の合意をとりましょう。

また、退職の手続きや「退職願」の提出は就業規則に従って進めましょう。就業規則に「退職届は1ヵ月前までに提出すること」と定めている会社が多いようですが、やむをえない事情で急に退職せざるを得ない場合は、上司にその旨を説明して理解してもらうことになります。就業規則がない場合は、民法で定める「2週間前」が目安になるでしょう。

退職するにはそれなりの事情があると思いますが、できれば会社の繁忙期を避け、引き継ぎ業務も時間的余裕を持って行うなど、円満退社を心がけたいものです。

  7. 「退職届」と「退職願」はどう違うのですか?
「退職届」と「退職願」に特に違いがあるわけではありません。しかし、一般的には、会社側の承認を得て退職をする場合は「退職願」、会社に対して一方的に退職の意思を伝えるのが「退職届」とされています。
  8. 「退職願」の書き方を教えてください。
退職願(届)の書き方

・会社に規定の書式や様式がない場合、白無地の用紙を用いましょう。用紙の大きさは、B5くらいがよいでしょう。
・万年筆か細字のサインペン(いずれも黒)で、縦書きで書くのが一般的です。
・宛名は会社の代表者(社長)ですが、提出するのは直属の上司です。 (会社組織では、部下は勤務状況について直属の上司に報告する義務があり、退職についても、まずは 直属の上司に伝えるのがルールだからです。)

【記載例】
①「退職願」という表題は、1行目のほぼ中央に書きます。
②「退職願」の行から一行分くらい空けて、「私こと」(「私儀」でもよい)で始めます。「私こと」は、一番下 に書きます。
③退職がどんな理由であれ、「一身上の都合(または理由)」でよいでしょう。必要なら、詳しい事情につ いては、口頭で上司に伝えます。
④退職日は、就業規則にもよりますが、「退職願」を提出する1ヵ月後あたりがいいでしょう。
⑤届け出の年月日は、「退職願」を提出する日です。
⑥自分の所属部署と氏名を書き、その下に捺印します。
⑦宛名は、会社名と代表者(社長)、敬称は「殿」とします。

白無地の封筒を用意し、表の中央に「退職願」、裏に自分の部署、氏名を記入し、「退職願」を入れます。 封筒は糊づけの必要はありません。

  9. 提出した「退職願(届)」を撤回できますか?
民事上は、会社はいったん受理した「退職届」の取り消しに応じなくてもよいとされています。しかし、一度受理した退職届の撤回を認めてくれる会社もないとはいえませんので、そのあたりは会社の考え方や判断によることとなります。

退職願を出した直属の上司が、まだ会社で定められた退職手続きをしていない段階であれば、その上司に掛け合って撤回することは可能かもしれませんが、すでに、会社が後任を決めていたり、募集活動を行っているような状況なら、撤回するのはかなり難しいと思われます。

  10. 「退職願」を出しましたが、受理してもらえません。この場合、辞めることはできないのでしょうか?
労働者には退職の自由があり、使用者の合意がなくても退職は可能です。しかし、円満に退職するためには、会社の理解が不可欠です。

どうしても辞めさせてもらえない場合、なぜ辞めさせてもらえないのか、その理由をはっきりとさせる必要があります。会社側からすれば、急に辞められることによって、仕事に支障が出る場合もあるでしょう。まずは上司と相談し、退職日を伸ばすなど、会社側の希望をどこまで受け入れられるか、話し合うことも必要です。

それでもどうしても退職を認めてくれない場合は、関係機関に相談してみましょう。

  11. 有給休暇が20日以上残っています。退職日まであと1ヵ月なのですがまとめてとってもいいでしょうか?
有給休暇は在職中にしかとれませんので、残っている有給休暇は退職する日までに消化するということになります。

有給休暇は、労働者に与えられた権利です。会社は、「事業の正常な運営を妨げる」場合に限り、時季の変更を命じることができますが、退職間近な労働者については、時期の変更ができません。つまり、労働者から、残っている有給休暇をまとめて取りたいという請求があったら、会社は拒否することはできません。

  12. 退職までに有給休暇を消化できません。会社に買い取ってもらえるでしょうか?
原則として、年次有給休暇の買い上げは禁止されています。そもそも有給休暇の目的は、労働者に「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図る」ことですから、年次有給休暇を買い上げることは本来の目的に反することになります。
しかし、買い上げが禁止されているのは、労働基準法で定められている年次有給休暇ですから、以下の(1)~(3)のような場合は、買い上げても違法にはなりません。
ただし、会社に買い取りの義務があるということではありませんので、話し合いが必要です。

(1)労働基準法で定められている有給休暇の日数を超える部分の日数
会社が法定で定められている日数以上に有給休暇を与えている場合、その超えた部分を買い上げても違反になりません。
(2)時効によって消滅した休暇日数
労働基準法で定められている有給休暇の時効は2年なので、時効で消滅した年次有給休暇を恩恵的に買い上げることは違反にはなりません。
(3)退職までに使いきれない場合
有給休暇は、会社に在籍している間に取得するものです。退職日までに取得できない有給休暇の残日数がある場合は、その日数を買い上げても違法とはなりません。

  13. 会社から突然「解雇」と言われました。どこに相談すればいいでしょうか?
突然解雇されたとのことですが、使用者は、労働者を解雇する場合には、「少なくとも30日前」にその予告をしなければなしません。「今日で辞めてもらう」などと言って、事前の予告をせずに解雇する場合は、使用者は30日以上の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければなりません。

しかし、本来、解雇をする場合は相当の理由が必要で、労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理性を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」としています。解雇を告げられたら、まず、解雇の理由を会社に確認しましょう。

解雇の理由に納得できない場合やトラブルになりそうな場合は、会社(働いている場所)を管轄する労働基準監督署総合労働相談コーナーに相談してみましょう。

  14. 解雇されても仕方のない理由にはどんなものがありますか?
解雇されても仕方のない理由は「ケースバイケース」ですが、一般的には、「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」があります。

「普通解雇」をする場合は、勤務成績が著しく悪く、何度指導を行っても改善の見込みがない、健康上(私病)の理由で、かなりの期間を過ぎても職場に復帰できる見込みがない、著しく協調性に欠けているため、業務に支障が生じてしまい、改善の見込みがないなどが挙げられます。

「整理解雇」は、会社の経営悪化のため、やむなく人員整理の必要が生じたという場合に行われる解雇です。

「懲戒解雇」は、労働者がきわめて悪質な規律違反などを行ったときに懲戒処分として行うものです。

いずれにしても、解雇をするためには、就業規則などに解雇の要件を定めておくことが必要とされています。まずは就業規則で確認し、それでも納得できない場合は、法律の専門家に相談するのがいいでしょう。

  15. 退職の手続きと会社から受け取る書類などについて教えてください。
退職の際に会社に返却するもの、会社から受け取るものは、主に次のようなものがあります。(会社によってはこの限りではありません)

 会社(事業主)に返却するもの
 ◎健康保険証
 ◎身分証明書・社員証
 ◎名刺
 ◎会社から支給された通勤定期券
 ◎制服・作業着
 ◎備品・事務用品など
 ◎その他貸与されたものすべて

 会社(事業主)から受け取るもの
 ◎ 雇用保険被保険者証(失業給付の申請に必要)
 ◎ 離職票(失業給付の申請に必要)
 ◎ 年金手帳
 ◎ 源泉徴収票(確定申告に必要)
 ◎ その他

 そのほか、会社に請求できるもの
 ◎退職証明書(労働基準法第22条)
 *不利な記載は禁止
 ◎ 解雇理由証明書(労働基準法第22条)

  16. 退職までにやっておくことはありますか?
「退職届」を提出した後、退職までにやるべきこととして

 ①業務引継ぎ
 ②あいさつ回り(挨拶状の手配)
 ③机周りの整理
 が、社会人として大切な事項だと思います。

業務の引継ぎは、後任が決まっている場合はもちろん、決まっていない場合でも、いつでも業務の引継ぎが行えるよう、「引継ぎ文書」を作成しておくことが重要です。その際、経験をもとに、陥りやすい失敗や困ったときの対処法など、アドバイスを添えるという心遣いがあれば後任の助けになります。

後任が決まったら、一緒に得意先等に退職の挨拶まわりをしましょう。先方の担当者と後任を引き合わせ、これまでと変わらない取引をお願いします。

また、取引企業、個人的にお世話になった方には、ハガキまたは手紙で挨拶状をだしましょう。できれば、退職の日の10日前くらいまでには準備しておき、退職後、日を置かずに発送したいものです。

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