採用内定通知を、労働契約の意思表示と見るか、労働契約の予約と見るかは、採用通知の内容にもよりますが、「合格者に対して採用通知が送られ、それが合格者のもとに届いた時点で雇用契約が成立する」という解釈例があります。また、「採用内定の取消しは解雇にあたる」という裁判例もあります。
ですから、採用通知が届いた後の内定取消しは、解雇と同じであると考えられ、よほどの理由がない限り、内定の取消しはできません。労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(第16条)」としています。
では、客観的に合理的で社会通念上相当である理由とはどのようなものでしょう。一般的には、以下のようなことが考えられます。
①予定した時期に学校を卒業できなくなった
②提出書類の記載事項や面接時の回答などに、事実と大きな相違があった
③病気やけがなどで健康状態が悪化し、勤務に耐えられなくなった
④犯罪行為を犯して逮捕、起訴された
⑤さまざまな企業努力を行ったが、著しい業績悪化や業務縮小などに陥った
ですから、内定通知をもらったのであれば、簡単にあきらめることなく、まずは取消しの理由を聞きましょう。会社の回答が単なる「会社都合」とか「不況になったため」では、内定を取り消すことはできないことになっていますので、ケースによっては、損害賠償の請求も含めて法律相談機関などへ相談したり、在学中の場合は学校の就職担当課に相談するとよいでしょう。